その他の網膜疾患

網膜剥離もうまくはくり網膜裂孔もうまくれっこう

網膜剥離とは

その他の網膜疾患イラスト1-1

網膜(カメラでいうフィルム)がはがれて、視野が欠けることや、視力が下がることがある病気です。
治療をしないと、失明することがある危険な病気です。


網膜剥離の症状と原因

網膜剥離の症状

進行するまで無症状の場合もあります。
目の前に蚊のようなものがみえる飛蚊症(ひぶんしょう)という症状が出ることや、暗いところでもピカピカ光りのようなものが見える光視症という症状が出ることがあります。
飛蚊症や光視症という症状がありましたら、早期発見のためにも眼科検診をお勧めします。
視野が欠けた、または視力が下がった場合は、網膜剥離が進行している場合が多いです。
網膜剥離は手術が必要になることがある病気ですが、早期発見できるとレーザー治療だけで治ることがあります。
早期発見し、早期治療が必要な病気ですので、症状がありましたら眼科受診してください。

網膜剥離の原因

年齢では、20代の若者と50代以上の高齢者に多いです。加齢による目の変化が原因になる場合が多いです。
また、強度の近視や外傷や遺伝が原因になることもあります。
アトピー性皮膚炎で目のまわりが重症な方や白内障手術などの眼内手術後にも起こりやすい病気です。


網膜剥離の治療

網膜裂孔という網膜に穴があいた状態や網膜が少しはがれただけの状態の場合は、レーザー治療で治すことができる場合が多いです。
くまだ眼科クリニックでは、パスカルというレーザー光凝固装置を導入しています。パスカルは、短時間で治療ができ、網膜へのダメージも少なく、患者様の痛みも少ないです。
しかし、網膜剥離が進行した場合は、手術が必要になります。手術には、目の外から行う網膜復位術か目の中から行う硝子体手術があります。

網膜剥離のオプトス画像

網膜剥離のオプトス画像網膜剥離が、ここまで進行すると、手術が必要です。

網膜裂孔のオプトス画像

網膜裂孔のオプトス画像網膜裂孔に対し、レーザー治療が必要です。

網膜静脈閉塞症もうまくじょうみゃくへいそくしょう

網膜静脈閉塞症とは

網膜(カメラでいうフィルム)の静脈がつまり、網膜に出血を起こす病気です。

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網膜静脈閉塞症の種類

つまる血管の場所によって、網膜中心静脈閉塞症網膜静脈分枝閉塞症があります。
網膜動脈により酸素や栄養を網膜に与えた後に、血液を網膜静脈が集めます。網膜静脈は、最後には視神経乳頭で1本になり、視神経から眼外(目の外)に出ます。
網膜中心静脈閉塞症は、網膜静脈の根元にあたる視神経乳頭の部位で血管がつまるため、広い範囲の網膜が障害を受けます。
網膜静脈分枝閉塞症は、網膜静脈の枝分かれした部分がつまるため、つまる場所によって症状が異なります。

網膜静脈閉塞症の原因

高血圧や動脈硬化など生活習慣病が関係していると考えられています。

網膜静脈閉塞症が進行すると…

進行すると、新生血管や黄斑浮腫が起こります。
虚血(血が行かなくなること)した網膜を放置すると、眼内に新生血管という悪い血管ができてしまいます。網膜に新生血管ができると、硝子体出血を起こし、出血により急に目が見えなくなります。
隅角(房水の出口)に新生血管ができると、房水の流れが悪くなり、緑内障(血管新生緑内障)を起こします。血管新生緑内障は、他の緑内障と比べて治療が困難です。
黄斑浮腫では、網膜の中央にある黄斑という部分が腫れてしまいます。黄斑は物を見るのに最も重要な場所なので、腫れると視力低下などの症状が出やすくなります。

網膜静脈閉塞症の症状

網膜中心静脈閉塞症は、急に視力低下を起こすことが多いです。
網膜静脈分枝閉塞症は、つまる血管の場所によって症状が異なるので、軽い症状から重い症状までさまざまです。
黄斑浮腫を起こすと、物がゆがんで見えたり、視力低下などの症状が出ます。

網膜静脈閉塞症の検査

眼底検査

網膜中心静脈閉塞症のオプトス画像

網膜中心静脈閉塞症のオプトス画像

網膜の広範囲に出血が見られます。

OCT検査(光干渉断層計)

網膜の断面像をみる検査です。特に、網膜静脈閉塞症の黄斑浮腫の検査や管理に有効です。

蛍光眼底造影検査

網膜の状態を、さらに詳しく知りたい場合があります。
造影剤を使い、眼内の血管を染めて撮影する検査です。
造影剤を静脈注射して、撮影します。
通常は何枚も撮影が必要になりますが、当院では蛍光造影眼底検査でもオプトスを使用しますので、撮影回数も少なく、患者様の負担が少なくなります。


網膜静脈閉塞症の治療

レーザー治療

虚血している網膜をレーザーで焼くことで、新生血管が発生しないようにする効果などがあります。当院では、パスカルというレーザー光凝固装置を導入しています。パスカルは、短時間で治療ができ、網膜へのダメージも少なく、患者様の痛みも少ないです。

特殊なレーザー治療(マイクロパルス閾値下レーザー)

黄斑浮腫にたいして、網膜の視細胞にダメージを与えることがない非常に弱いレーザーを照射する治療です。
当院のパスカルというレーザー光凝固装置で行うことができます。
今まで治療が困難であった黄斑浮腫に対しても効果が期待できます。

マイクロパルス閾値下レーザー

抗VEGF薬硝子体内注射

網膜静脈閉塞症による黄斑浮腫の改善や新生血管の発生予防には必要不可欠な薬剤です。
現在、アイリーアとルセンティスという薬剤が使われています。

硝子体内注射
硝子体内注射

ステロイドのテノン嚢下注射

網膜静脈閉塞症による黄斑浮腫の治療に用いられます。
眼内ではなく目の裏側に注射をします。

テノン嚢下注射
テノン嚢下注射

黄斑前膜おうはんぜんまく

黄斑前膜とは

網膜(カメラでいうフィルム)の中央にある黄斑という部分の前に膜が張ってしまう病気です。加齢や目の病気によって起こることがあります。

 

黄斑前膜の症状

軽度の場合、自覚症状はありません。
膜にしわがよったりすると歪んで見えたりします。
視力低下を起こすこともあります。

黄斑前膜の検査

光干渉断層検査(OCT検査)が重要です。
OCT検査は、網膜の断面をみる検査なので、黄斑前膜を調べるには最適な検査です。また、造影剤などは使わないため、患者様への負担はほとんどありません。

正常のOCT画像

正常のOCT画像

黄斑前膜のOCT画像(矢印部分の断面)

黄斑前膜のOCT画像(矢印部分の断面)

黄斑部(網膜の中心)に膜が張り、中心窩陥凹がなくなっています。

黄斑前膜の治療

黄斑前膜は急に失明するような病気ではありません。
初期の黄斑前膜は、視力検査や眼底検査やOCT検査で経過観察が必要です。
視力低下や、ゆがみが進行した場合は、硝子体手術で膜をとり除きます。

よくある質問

網膜剥離・網膜裂孔

どのような症状が重要でしょうか?

網膜剥離・網膜裂孔の早期発見に重要な症状は、光視症(こうししょう)と飛蚊症(ひぶんしょう)です。
光視症は、ピカピカと光を感じ、暗い部屋でも見えたりします。
飛蚊症は、蚊が飛んでいるように、黒い物が動いて見えます。
しかし、光視症も飛蚊症も、加齢など正常でも見られる場合があります。
また、網膜剥離が進行すると視野欠損や視力低下を起こします。
このような症状があれば、眼科受診をお勧めします。

網膜剥離・網膜裂孔になりやすい年齢はありますか?

20代と50代にピークがあります。
20代の網膜剥離は進行がゆっくりの場合が多く、気付かないうちに病状が悪化していることがあります。
50代の網膜剥離は進行が速い場合が多く、状態によっては緊急手術になることもあります。

どのような検査をするのでしょうか?

一般的な眼科検査以外に、散瞳検査(目薬で瞳孔を広げる検査)を行います。
散瞳検査をすることによって、網膜のできるだけ広い範囲を観察する必要があります。
帰りは見にくくなりますので、ご自身での運転は控えることをお勧めします。

網膜裂孔があったら、治療は必要なのでしょうか?

網膜裂孔を放置し、網膜剥離になる可能性が高い場合は、レーザー治療をお勧めします。

レーザー治療は痛いですか?

場所によっては痛みがあります。
当院では、今までのレーザー光凝固装置に比べ、痛みが少なく、短時間で治療ができるパスカルというレーザー光凝固装置を使っています。

網膜剥離になったら、どのような手術が必要なのでしょうか?

目の外から行う強膜バックリングと目の中から行う硝子体手術があります。
術式の選択や手術の緊急性は、目の状態によって変わりますので、まずは早めに眼科を受診して網膜剥離という診断が出てから、眼科医に詳しく聞くことをお勧めします。

網膜静脈閉塞症

どのような人がなりやすいのでしょうか?

糖尿病・高血圧・高脂血症のある方はなりやすいので注意が必要です。

網膜静脈閉塞症は、どのような治療をするのでしょうか?

網膜静脈閉塞症によって起こる黄斑浮腫に対しては、VEGF阻害剤硝子体内注射やステロイドのテノン嚢下注射を行います。
また、新生血管が発生しないように、レーザー治療を行います。

治療をすれば、見えるようになるのでしょうか?

黄斑浮腫を起こすと視力低下、ゆがんで見えるなどの症状が出ます。
黄斑浮腫の状態や期間などにより、見え方に後遺症が残ります。
黄斑浮腫は早期発見して、早い段階で治療することができれば、視力の回復に期待ができます。
しかし、黄斑浮腫の治療の遅れや、黄斑浮腫を繰り返すと、組織がダメージを受けて、思ったような視力に戻らなくなります。
早期発見・早期治療が必要です。

黄斑浮腫を繰り返し、何回も硝子体内注射やステロイドのテノン嚢下注射をしていますが、必要なのでしょうか?

黄斑浮腫は治療が困難な状態があり、何度も繰り返す方がいます。
病状によっては、複数回の注射やレーザー治療が必要な場合があります。

網膜静脈閉塞症の予防方法はありますか?

高血圧・高脂血症・糖尿病などの生活習慣病が原因になります。
内科にて、それらの治療を受けることをお勧めします。

黄斑前膜

いつ手術をしたらいいのでしょうか?

視力低下が進行した時やゆがみが強くなった時は、手術をお勧めします。
緊急性のある病気ではないので、よく考えてください。
しかし、病状が進行して視力がかなり低下してからでは、手術をしても視力が出ない場合があります。

黄斑前膜は、放置をすると失明する病気ですか?

失明する病気ではありません。
しかし、病状が進行してから手術しても、視力が回復しないときがあります。
定期的に眼科受診をして、検査を受けることをお勧めします。

手術をするとゆがみはとれますか?

手術をしても、すぐには良くなりません。時間がかかりますが、ゆっくり改善します。
しかし、視力低下やゆがみなどが残ることも多いです。

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