網膜裂孔・網膜剥離は、網膜(カメラでいうフィルム)がはがれることで、視野が欠ける・視力が下がることがあり、治療をしないと失明することがある危険な病気です。
網膜に孔(穴)があいたり、裂け目ができる状態を「網膜裂孔」といい、網膜裂孔が原因で網膜が剥がれた状態を網膜剥離(専門的には裂孔原性網膜剥離)といいます。
20代の若者や、50代以上の高齢者に多く見られ、加齢による目の変化が大きな要因です。
また、強度の近視や外傷や遺伝が原因になることもある他、アトピー性皮膚炎で目のまわりが重症な方や白内障手術などの内眼手術後にも起こりやすい病気です。
網膜裂孔・網膜剥離とは
網膜裂孔・網膜剥離
の症状
以下の症状に心当たりのある方は網膜裂孔・網膜剥離の可能性があります。
蚊のようなものが見える(飛蚊症)
暗い場所で光が見える(光視症)
視野が欠けて見える(視野欠損)
視力が下がる(視力低下)
網膜裂孔・網膜剥離の検査
網膜裂孔・網膜剥離の検査は、網膜を隅々まで検査する必要があるため、目薬で瞳を広げる散瞳検査が必要になります。
散瞳検査後は、個人差はありますが数時間は散瞳した状態が続くため、眩しく感じたり、遠近感がとれなくなるため、お帰りの車の運転は危険です。
飛蚊症や光視症など、網膜裂孔・網膜剥離が疑われる症状がある場合は、ご自身の運転は避け、送ってもらうか公共交通機関で来院していただくようお願いします。
「網膜裂孔・網膜剥離」
治療について
網膜裂孔という網膜に穴があいた状態や網膜が少しはがれただけの状態の場合は、レーザー治療で治すことができます。
くまだ眼科クリニックでは、パスカルというレーザー光凝固装置を導入しています。パスカルは、短時間で治療ができ、網膜へのダメージも少なく、患者様の痛みも少ないです。
しかし、網膜剥離が進行した場合は、手術が必要になります。手術には、目の外から行う強膜バックリング術と目の中から行う硝子体手術があります。
網膜裂孔のオプトス画像
レーザー治療が必要
網膜剥離のオプトス画像
手術が必要
網膜裂孔・網膜剥離に関する
よくある質問
- どのような症状が重要でしょうか?
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網膜裂孔・網膜剥離の早期発見に重要な症状は、光視症(こうししょう)と飛蚊症(ひぶんしょう)です。光視症は、ピカピカと光を感じ、暗い部屋でも見えたりします。
飛蚊症は、蚊が飛んでいるように、黒い物が動いて見えます。しかし、光視症も飛蚊症も、加齢など正常でも見られる場合があります。
また、網膜剥離が進行すると視野欠損や視力低下を起こします。このような症状があれば、眼科受診をお勧めします。
- 網膜裂孔・網膜剥離になりやすい年齢はありますか?
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20代と50代にピークがあります。20代の網膜剥離は進行がゆっくりの場合が多く、気付かないうちに病状が悪化していることがあります。
50代の網膜剥離は進行が速い場合が多く、状態によっては緊急手術になることもあります。
- どのような検査をするのでしょうか?
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一般的な眼科検査以外に、散瞳検査(目薬で瞳孔を広げる検査)を行います。散瞳検査をすることによって、網膜のできるだけ広い範囲を観察する必要があります。
帰りは見にくくなりますので、ご自身での運転は控えることをお勧めします。
- 網膜裂孔があったら、治療は必要なのでしょうか?
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網膜裂孔を放置し、網膜剥離になる可能性が高い場合は、レーザー治療が必要です。
- レーザー治療は痛いですか?
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場所によっては痛みがあります。
当院では、今までのレーザー光凝固装置に比べ、痛みが少なく、短時間で治療ができるパスカルというレーザー光凝固装置を使っています。
- 網膜剥離になったら、どのような手術が必要なのでしょうか?
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目の外から行う強膜バックリング術と目の中から行う硝子体手術があります。
術式の選択や手術の緊急性は、目の状態によって変わりますので、まずは早めに眼科を受診して網膜剥離という診断が出てから、眼科医に詳しく聞くことをお勧めします。