結膜炎の症状は?原因や治るまでの期間、治療方法について眼科医が解説
この記事の執筆者
熊田充起 くまだ眼科クリニック 院長
常日頃意識しているのは、「治す眼科医療」をめざすこと。日帰りでの白内障手術を数多く手がけるほか、緑内障の早期発見や小児眼科など、幅広い患者様のニーズに対応。
目次
結膜炎とは?
そもそも「結膜」とは、まぶたの内側から眼球の表面の白目を覆う微細な半透明膜のことを言い、さまざまな外的異物から眼を守り、眼球に潤滑をもたらす役割を果たしています。結膜は常に外部環境にさらされているため、異物が堆積しやすい部位ですが、血管やリンパ組織が豊富なため細菌やウイルスが眼に入るのを防ぎます。
そんな結膜にウィルスや細菌が繁殖し、結膜に炎症が起こることを「結膜炎」といいます。主な症状としては「目の充血」や「目やにの発生」が挙げられ、充血は血管が拡張することにより発生し、結果として白目やまぶたの内側が赤くなってしまいます。その他にも、目のかゆみや過剰な涙の分泌、目の中の不快感や痛みなどがあり、結膜炎の種類によっては、発熱や喉の痛みといった、目には直接関連しない症状が併発することもあります。
参考記事:『結膜炎の種類、症状、その原因とは?市販の目薬で対処可能?|大正製薬グループ』
結膜炎の症状は?
結膜炎は主に、下記3つに分類されます。
- アレルギー性結膜炎
- 細菌性結膜炎
- ウイルス性結膜炎
ここからは、それぞれの特性と症状について詳しく解説していきます。
アレルギー性結膜炎
花粉やハウスダストなどのアレルゲン(アレルギー反応を引き起こす物質)が目に触れることによって生じます。かゆみ、結膜の充血、涙、目の分泌物などの症状があり、くしゃみ、鼻水、鼻閉塞などの鼻の症状が同時に現れることもあります。主に春や秋などの特定の季節に起こる「季節性アレルギー性結膜炎(主に花粉が原因)」と、季節に関係なく一年中起こる「通年性アレルギー性結膜炎(ハウスダストなどが原因)」が存在します。
アレルギー性結膜炎について詳しく知りたい方は、下記記事もあわせてご覧ください。
細菌性結膜炎
細菌の目への感染が主な原因となります。感染源となる細菌の種類は多種多様で、涙により容易に排除可能な微弱な菌から、黄色ブドウ球菌のような重篤な病態を引き起こしやすい菌まで様々です。主な症状としては白目の充血や腫れ、黄色く変色した目の分泌物などがあります。また、性感染症であるクラミジアに感染した人の体液が目に接触することにより感染する「クラミジア結膜炎」も、細菌性結膜炎の一種とされています。
下記記事では「細菌性結膜炎」についてより詳しく解説していますので、こちらもあわせてご覧ください。
ウイルス性結膜炎
ウイルス性結膜炎は、他の結膜炎と比較しても治療が難しく感染力も高いのが特徴です。また特効薬がないため、炎症を抑えるステロイド点眼薬や二次感染を防ぐために抗菌点眼薬が使用されます。非常に感染力が高いため、周りへの感染を防ぐために自身や家族も予防措置を取ることが重要です。また、ウイルス性結膜炎は、学校保健安全法に基づき、登校停止の対象となります。
参考記事:『「結膜炎」の原因・症状・対処法|ロート製薬株式会社』
結膜炎になったときの対処方法は?
細菌性結膜炎であれば、薬局などで市販されている抗菌目薬を使ってみるのも効果的です。しかしここで注意しなければならないのが「結膜炎用」と表示されていても、抗菌剤が含まれていない目薬もあることです。自身で購入する際には「結膜炎に対する有効成分が入っているか?」薬剤師に相談して購入するようにしましょう。
ただし、万一その他の結膜炎を発症していた場合、放っておくと点眼だけでは治療が困難となる可能性もありますので、炎症を起こしはじめたらまずはお近くの眼科を受診するようにしましょう。
学校や会社は何日休むべき?
結膜炎の一種であるウィルス性結膜炎(流行性角結膜炎、急性出血性結膜炎、咽頭結膜炎)は、高い感染力を持っているため、完治するまでは保育園や学校への出席が制限されます。
一般的に他者への感染リスクが考えられる期間としては、流行性角結膜炎ではおおよそ1~2週間、急性出血性結膜炎ではおおよそ7日間、咽頭結膜炎ではおおよそ1~2週間とされています。しかし結膜炎が完治し、出席許可を出せるのは「眼科医などの専門医のみ」ですので、医師から出席停止を伝えられた場合には、自分で完治を判断せず再度眼科を受診してください。
※「学校保健法第三種」に指定されています。
感染力の強い病気だからこそ、
早期治療を心がけましょう
結膜炎は、症状によってはインフルエンザと同様に強い感染力のある病気です。また進行すると、角膜に炎症を起こす「角膜炎」という合併症を引き起こす可能性があるなど、早期に正しい治療を行うことが大切です。
比較的軽度な症状であれば、薬局などの市販薬で対処することも効果的ですが、症状がおさまらない場合には、すぐに眼科を受診して正しい治療を行ってもらうようにしましょう。
この記事の執筆者
熊田充起 くまだ眼科クリニック 院長
常日頃意識しているのは、「治す眼科医療」をめざすこと。日帰りでの白内障手術を数多く手がけるほか、緑内障の早期発見や小児眼科など、幅広い患者様のニーズに対応。