2022.07.25
コンタクトレンズ購入・使用の注意点
この記事の執筆者
熊田充起 くまだ眼科クリニック 院長
常日頃意識しているのは、「治す眼科医療」をめざすこと。日帰りでの白内障手術を数多く手がけるほか、緑内障の早期発見や小児眼科など、幅広い患者様のニーズに対応。
9月10日に消費者庁より、コンタクトレンズについての注意喚起がありました。あまり知られてはいませんが、9月10日は『コンタクトレンズの日』です。なぜかというと、9が指にのせたコンタクトレンズの形を表し、10が眉毛と目(1が眉毛で、0が目)を表しているからです。
コンタクトレンズは高度医療機器のクラスⅢに分類されています。高度医療機器のクラスⅢとは、『不具合が生じた場合、人体へのリスクが比較的高いと考えられるもの』と定義されています。高度医療機器のクラスⅢに該当するものには、人工透析器や放射線治療機器や人工骨頭などの非常に高度な医療機器が含まれます。
度数のないおしゃれ目的のカラーコンタクトレンズは、以前は雑貨として取り扱われていましたが、平成21年11月から高度管理医療機器になりました。
高度管理医療機器は、製造販売において厚生労働大臣の承認を受けること、販売において都道府県知事等の許可を受けることが義務付けられています。つまり、高度管理医療機器の販売業の許可を受けた者でなければ、コンタクトレンズを販売できません。
また、我々眼科医は、コンタクトレンズを処方・販売するにあたり、医薬品医療機器等法を遵守し、年に1回のコンタクトレンズ販売管理者継続的研修を受講し、コンタクトレンズへの理解を深めております。
しかし、コンタクトレンズをとりまく現状は簡単ではありません。
コンタクトレンズ使用者は、全国で1500万人~1800万人といわれ、おしゃれ目的のカラーコンタクトレンズの使用も一般的になってきています。
コンタクトレンズ購入先で最も多いのが、ネット通販で約4割を占めます。ネット通販で個人輸入するコンタクトレンズは、医薬品医療機器等法が定める品質、有効性及び安全性が認められていません。また、ネット通販の海外産の粗悪なコンタクトレンズを規制するのは難しく、簡単に購入できるのが現状です。しかも、トラブルが起こっても製造元に連絡することは難しく、健康被害が起こっても何も保証がありません。ネット通販での購入者に眼障害が多いことが指摘されています。
では、安全にコンタクトレンズを購入して使用するためには、どうすればいいのでしょうか?
大事なことは3点です。
1点目は、コンタクトレンズを購入する時(特に、初めて購入する時)は、眼科医による検査・診察が重要になります。コンタクトレンズは黒目(角膜)に直接つけるものです。正しいカーブやサイズを選ぶことやご自身の目の状態に合ったものを選ぶことが重要です。不適切なコンタクトレンズをつけていると、黒目(角膜)に障害を起こして、視力を失ってしまうことがあります。
2点目は、コンタクトレンズの正しい使い方です。
以下のようなことに注意して頂けるといいかと思います。
- コンタクトレンズをつける時とはずす時は、手洗いをして清潔な状態で行う。
- 決められた装用時間を守る。
- 他人のコンタクトレンズは使用しない。
- 連続装用してはいけないコンタクトレンズをつけたまま寝ない。
- コンタクトレンズは保存液につけていただけでは、菌を除去することはできません。きれいな手で消毒液や保存液でこすり洗いをする。
- コンタクトレンズを水道水で保存しない。
- 消毒液や洗浄液は毎回交換する。継ぎ足しはしない。
- レンズケースを毎回洗浄し、定期的に新しいものに交換する。
3点目に重要なことは、異常を感じたら、すぐに眼科を受診することです。
充血、痛み、まぶしさ、見にくさ、かゆみなどの異常を感じたら眼科を受診して下さい。
コンタクトレンズによる障害の中には、緊急を要する感染症などがありますので、異常を感じたら、早目の眼科受診をお勧めします。
日常診療をしていると、コンタクトレンズによる眼障害の方が多数来院されます。その中に、黒目の感染症(角膜潰瘍)などの重傷疾患の患者様がおられます。
気軽に購入して使っていたコンタクトレンズにより、視力を失うようなことのないように願っています。
この記事の執筆者
熊田充起 くまだ眼科クリニック 院長
常日頃意識しているのは、「治す眼科医療」をめざすこと。日帰りでの白内障手術を数多く手がけるほか、緑内障の早期発見や小児眼科など、幅広い患者様のニーズに対応。