2022.07.25
緑内障の現状
この記事の執筆者
熊田充起 くまだ眼科クリニック 院長
常日頃意識しているのは、「治す眼科医療」をめざすこと。日帰りでの白内障手術を数多く手がけるほか、緑内障の早期発見や小児眼科など、幅広い患者様のニーズに対応。
人生100年時代という超高齢化社会をむかえています。
2021年の日本人の平均寿命は男性が81.64歳、女性は87.74歳でした。年々、平均寿命は延びています。
人間は死ぬまで失明してはいけません。日本人の失明原因の第1位は緑内障です。緑内障は視神経が消失する疾患です。正常者でも年間に約5000本の視神経が消失するとされています。緑内障の方では、それ以上のスピードで視神経が消失します。平均寿命をまっとうするまで、視神経が残る必要があります。しかし、平均寿命が延びているため、人生の後半部分で緑内障のため、視神経を失い見えなくなる患者様が増えてきています。
世の中では、緑内障という病気の本質が知られていないため、緑内障はみつかっても失明する病気と思っている方が多くいます。緑内障をしっかり理解して頂き、決して、そのような病気ではないことを知ってもらいたいです。
一度消失した視神経は元には戻りません。しかし、眼圧を下げることで視神経の消失するスピードがゆっくりになります。
寿命をまっとうするまでに緑内障で失明しないためには、早期発見、早期治療、緑内障の厳重な管理が必要になります。
進行した状態で緑内障が発見されても、残された視神経が少ないため、寿命をまっとうするまでに、視神経がもたなく、失明してしまう可能性が高くなります。やはり、早期発見・早期治療は重要になります。
しかし、緑内障の早期治療を開始されても、目薬を忘れる、診察を受けないなど管理が不十分だと、視神経が消失するスピードをおさえることができません。緑内障は治療が始まってからも厳重な管理が必要な病気です。
また、従来は、視野欠損などの機能障害が出てから治療が開始されてきました。しかし、近年は医療機器の進歩もあり早期の緑内障を発見することができるようになりました。
以前は、視野障害が出てから治療が開始されていました。
しかし、視野障害が出る前の前視野緑内障という状態で発見し、早期に治療を開始することが可能になってきています。
しかし、患者様が眼科を受診しないと発見することも治療することもできません。
40歳以上の約20人に1人が緑内障です。決して、めずらしい病気ではありません。
徐々に進行するため、早期発見ができない場合もあります。
では、どのような方が受診をしたらよいのでしょうか。
ちょっとした日常生活の異常があったり、緑内障のリスクが高い方は、眼科受診をお勧めします。
緑内障は両目で見ていては気づかないことがあります。片目ずつで見てみて異常がないかチェックしてみて下さい。
日常生活のチェック
- 片目で見たとき、かすんで見えたり、見えづらいことがある。
- 本や新聞などの文字が読みづらい
- 遠近感がわかりにくい
- 階段の段差がわかりにくく、踏みはずしそうになる
- 運転中に信号や標識、歩行者を見落とすことがある
- つまずきやすくまった
- テレビのテロップや映画の字幕がみづらい
- 人や物によくぶつかるようになった
- 昼間でも暗く感じる、暗い所でものが見えにくい
緑内障のリスク
- 眼圧が高いと言われたことがある(レーシックをしている人は眼圧が低く出ることがあります)
- 強い近視である
- 親や兄弟姉妹に緑内障の方がいる
- 糖尿病である
- 低血圧である
- 片頭痛持ちである
- ステロイド薬による治療をしている
チェック項目で、該当するものがある方は眼科受診をお勧めします。
この記事の執筆者
熊田充起 くまだ眼科クリニック 院長
常日頃意識しているのは、「治す眼科医療」をめざすこと。日帰りでの白内障手術を数多く手がけるほか、緑内障の早期発見や小児眼科など、幅広い患者様のニーズに対応。